私が育った町から削られていく山景色が見えます。子供の頃からのその景色は大きく変わり、山はそろそろなくなります。
幼少期弱体質だった私は、発熱は日常で、朝起きると突然に声が出なかったり、歩けなかったり、いろんな症状がありました。父は山や海が好きで、私はよく連れていかれ、身体の元気を取り戻すと共に、自然治癒力の偉大さに驚かされました。
そんな偉大な山が削られていく景色は嬉しいものではありませんでした。それが40代にもなって、その山が私たちの暮らしを支えてきたと知るのです。
その山はかつて東洋一の産業を生んだ石灰山で、石灰は人類の歴史といえるという話を聞きました。私はこの地球の移ろいを、この山の石灰から漆喰をつくり、アート作品を作っています。